こんにちは、Dextaです。
「良い人材が採用できない」というのは、海外の日本人経営者が口を揃えてこぼす悩みです。
私も約20年、この難問と向き合ってきました。もちろん優秀な人材を外部から探すのも一つの手ですが、実は答えはもっと「足元」にあるのかもしれません。
今回は、現場のワーカーさんを教育し、スタッフへと昇格させてきた私の実体験をお話しします。
1. 【採用の罠】面接の「印象」はあてにならない。定着率の悩みをどう越えるか
通常の採用活動、つまり新卒や中途採用は、当然ながら私たちも行っています。
書類選考から面接まで、プロセスは日本と大きく変わりません。しかし、実際には面接での印象がどれほど良くても、入社後に「こんなはずではなかった」となるケースは、良い意味でも悪い意味でも本当に多いのが実情です。
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特に定着率の問題は深刻です。時間をかけて教育しても、より高い給料を求めて転職を繰り返すのが、この国の合理的な労働市場の側面でもあります。
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そんな中、私はある時期から、採用の視点を「外」から「内」へと少しずつシフトさせていくことにしました。
2. 【人財の原石】「無条件採用」の現場に見つけた、先回りできる稀有な人財
工場の作業員(ワーカーさん)の採用については、基準を極めて低く設定しています。
基本的にはほぼ無条件で採用し、実際に働いてもらう中で適性を判断することにしています。そんな荒削りな集団の中に、ごく稀に「原石」のような人物が現れることがあります。
彼らは、こちらの思惑を先回りして動いたり、誰に言われるでもなく現場の改善に動いたりします。
私はそういうワーカーさんを見つけた時、しばらく注意深く観察するようにしています。勤務態度はどうか、精勤や皆勤を守れているか。派手なスキルではなく、そうした「当たり前の継続力」があるかどうかが、私の判断基準です。
3. 【機会の提供】学歴という社会のフィルターを、経営者が自ら壊す勇気
こうした優秀なワーカーさんたちの多くは、「学歴」という大きな壁にぶつかっています。
能力があっても、中卒や高卒という肩書きがネックになり、ステップアップの機会を失っているのです。私は、このように見込みのある方にはチャンスを与えるようにしています。通信制の高等教育や、方向性がはっきりしている場合は専門学校に通う費用を会社が負担し、学ぶ時間を提供するといったものになります。
もちろん、本人には相当な努力が求められますが、課程を終えて戻ってきた際には、正社員やスタッフへと昇格させます。学歴という社会のフィルターを、会社が投資することによって取り払うのです。
4. 教育のリスク】爆発的なモチベーションと、優秀な人ほど「巣立つ」現実
会社から「投資」を受けた彼らの忠誠心とモチベーションは、凄まじいものがあります。
現場を誰よりも知るスタッフとして、彼らは組織を支える強固な柱となります。しかし、ここで経営者として避けて通れない「リスク」に直面するのもまた事実。
優秀に育った人ほど、さらに条件の良い大企業から引き抜かれたり、自ら羽ばたいていったりすることがあります。せっかく投資したのに、と落胆する声もあるでしょう。しかし、私はそれも「本人のため」と割り切っています。
彼らの人生が、私の会社での経験を通じてより豊かになったのであれば、それは経営者としての成功と言えるかもしれません。
5. 【還元の精神】この地に生かされている感謝を込めて。東南アジアへの恩返し
なぜ、移籍のリスクを背負ってまで教育を続けるのか。
最終的には、この東南アジアで20年、仕事をさせてもらっていることへの「感謝」に行き着きます。外国人として、この国の人々に支えられて会社を運営できている。その恩返しとして、地域の若者に教育と機会を還元するのは、私なりの責務だと考えています。
一人のワーカーがスタッフになり、その家族の生活が安定する。あるいは、より大きな舞台へ羽ばたいていく。そうした「個の成長」に触れられることこそが、異国の地で経営を続ける私にとっての、何よりの報酬なのかもしれません。
総括:経営の答えは「履歴書」ではなく、常に「現場」にある。
採用に正解はありません。
しかし、履歴書の向こう側にある「人の本質」を信じ、投資を続けることでしか得られない組織の強みというものがあります。
移籍を恐れず、学びの機会を与える。それが結果的に、会社を、そして自分自身を成長させてくれるのだと、私は信じています。
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