“帰る場所”を変えるという選択——東南アジアに根を張る覚悟

海外ビジネス・生活のリアル

こんにちは、Dextaです。

気が付けば、東南アジアでの暮らしも二十年を超えました。 初めてこの地に降り立ったときは、「成功するまで帰らない」「骨を埋める覚悟で来た」と周りにも言い切っていました。(笑)

若さゆえの勢いもあり、あの頃は未来のことなど考える余裕もなく、ただ前を向いて走り続けていたように思います。

それから年月が流れ、この国も私の会社も、そして自分自身も静かに変わっていきました。

1.若気の至りと“骨を埋める覚悟”

初めて東南アジアに渡ったときは、恐れよりも期待の方が大きかったように記憶しています。

「成功するまで帰らない」「骨を埋める覚悟で来た」と心に誓い、どんな困難にも逃げずに向き合ってきました。今思えば無鉄砲で未熟な部分も多かったのですが、その純粋な情熱が今の自分を支える基礎をつくってくれたのだと思います。

現地のスタッフたちと汗を流しながら一つひとつ課題を乗り越えていく。振り返ると、あの頃の自分は“怖さ”よりも“覚悟”に支えられていました。

あの日の気持ちは、今でも自分の原点です。


2.経営を通じて感じた“ふたつの想い”

現地で会社経営を続ける中で、スタッフたちの成長を目の当たりにしてきました。新人として入ってきた子がリーダーになり、家庭を持ち、後輩を指導するようになる。その姿を見るたびに、この地で事業を続けてきた意味を感じます。

一方で、長く海外で暮らすほどに、改めて日本の素晴らしさに気付く場面も多くなってきました。
社会の仕組みや整然さ、人の思いやり、細部に宿る丁寧さ。日々の経営の中で、「日本という国がどれほど成熟した社会なのか」を痛感することが多々あります。

現地への恩返しをしたい気持ちと、日本の良さを再認識する気持ち。その両方が、今の自分を形づくっているように思います。


3.“任せる覚悟”と“帰る準備”

ここ数年で、会社の運営を徐々にローカルスタッフへ任せるようになりました。

当然不安もあり、まだ試行錯誤の段階ですが、彼らが自分の代わりに現場を動かす姿を見て、少しずつ“任せる”ということを実感しつつあります。自分がいなくても会社が回るようになったときは、少しの寂しさと、それ以上の誇らしさを感じるのでしょう。

そして今は、「最終的に日本に帰ること」が一つの目標になりつつあります。それは“終わり”ではなく、“次の始まり”なのだと思います。

若い頃に抱いた「帰らない覚悟」が、今は「帰る希望」へと静かに変わっていきました。


4.“根を張る”という言葉の本当の意味

“根を張る”という言葉は、永住を意味するものではないのかもしれません。私にとってそれは、この土地を理解し、尊重し、関わり続けるという生き方そのものを指します。

現地で得た経験や人とのつながりは、これからも私の中で生き続けていく。たとえ帰国しても、それらが消えることはありません。

むしろ、その経験を今後どう日本で活かすかを考えることが、次の挑戦になるのだと思います。


5.どこで生きるかより、どう生きるか

海外で起業し、経営を続けてきた中で学んだのは、結局のところ「どこで生きるか」よりも「どう生きるか」だということでした。

東南アジアでの日々は、自分にとって挑戦であり、学びであり、そして人生の大部分でもあります。

“帰る場所”を変えるということは、単に住む場所を移すという意味ではなく、自分の価値観を更新しながら、これからも前を向いて生きていくという選択なのだと感じています。


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