現地スタッフとの信頼関係を築けるかどうか。それが、海外経営の成否を分ける最大の要素だと、20年の経験を経て確信しています。設備や資金と同じくらい、いや、それ以上に重要です。この記事では、起業後10年の試行錯誤でたどり着いた3つの要諦をお伝えします。
こんにちは、Dextaです。
幹部候補との価値観の衝突。「正しさ」より「相手の立場」を優先した理由
起業当初に採用した幹部候補スタッフとは、最初からうまくいったわけではありません。
言葉の問題ではなく、「感覚」や「考え方」の違いです。
たとえば、
- 相手のちょっとした一言が、いちいち気に障ったり、
- その逆もまた然りだったり、
- 報告の内容がダラダラと長く、要点がつかめなかったり。
ただ、その時に私が意識したのは「頭ごなしに注意しないこと」。いったん受け止めた上で、日々のコミュニケーションの中ですこしずつお互いのやり方や価値観をすり合わせていきました。
今振り返ると、「正しさ」ではなく「相手の立場を理解する」ことが、信頼構築の第一歩だったのだと思います。もっとも、それを自分の中で消化できるまでには、かなりのストレスも伴いましたが(笑)。
「現地に行けばなんとかなる」という幻想を捨て、準備すべき語学のラインを海外起業と語学力のリアルにまとめました。
ジョブホッピングが当たり前の文化で、どう「愛着」を育てるか
東南アジアで人を雇うときに、日本と最も違う点のひとつが「転職に対する感覚」です。
多くのスタッフは終身雇用の意識が薄く、数千円(極端な場合は数百円)の給与差だけであっさり転職してしまうことも珍しくありません。
ではどうすべきか?会社に対する「愛着」や「仲間意識」をどう重ねていけるかが大事になります。
定着率を変えた3つの施策。インセンティブより大切だったこと
特に専門性が高く、熟練度を必要とするような、時間をかけて育成したいスタッフに対しては、長期雇用を見据えた仕組み作りが重要です。
私の会社で取り続けてきた工夫をいくつかご紹介すると、
- 成果に応じたインセンティブ制度(職種や職位に応じて設計)
- 勤続年数に応じた福利厚生(健康診断や交通手当など)
- 社員旅行やスポーツ大会などのレクリエーションを通じた一体感の醸成
- 社員表彰制度や感謝イベント
これらは一見“コスト”に見えるかもしれませんが、スタッフが「ここで長く働きたい」と感じるための環境づくりになってくれるのです。
現地スタッフが納得する給与設計については、こちらの記事も参考にしてください。
採用で踏んではいけない法的地雷。ビザと採用権限の落とし穴
外国人が現地で起業して人を雇う場合、自身の労働ビザがどういった種類であるかの確認も必要です。
たとえば、自分の専門職が人事や採用を含んでいないのに、直接現地の採用に関わると、労働局や入国管理局から指導を受けるリスクがあります。
他社の例ですが、ある時、イミグレから「あなたのビザで採用に直接関わるのは職務違反だ」と注意されたことも。
採用権限やビザの問題は、一歩間違えれば事業継続を脅かします。現地の労働慣習と法規制の両方を熟知したプロの知見を早めに借りることが、後々のリスクを大きく減らすと実感しています。
まとめ:文化の壁を越えるのに必要なのは、技術より「待つ覚悟」だった
信頼関係とは、一朝一夕で築けるものではありません。
特に文化や価値観が異なる海外では、「伝えたつもり」「分かってくれるはず」が通用しない場面も多く、誤解やすれ違いは日常茶飯事です。(日本でいうところの「空気を読む」という感覚があまり無いのかもしれません。)
それでも、日々の対話や小さな約束の積み重ね、スタッフ一人ひとりの背景や考え方を理解しようとする姿勢が、確かな信頼の土台になっていきます。
たとえ最初はうまくいかなくても、「長く一緒に働きたい」と思ってもらえる関係性を目指して、一歩ずつ歩み寄る姿勢を大切にしていきたいと思っています。
とは言いましても、どんなに採用活動に力を入れたとしても、転職してしまう社員が出てくるのもまた事実。そこで落ち込まずに頭を切り替える事も、東南アジアで起業する際の必要なスキルになってくるのかもしれません。
もし、この記事を読まれてもなおスタッフの離職が止まらないとお悩みなら、それは信頼関係以前の「仕組み」に原因があるかもしれません。私が10年かけてたどり着いた「人間関係の悩みの総集編」もぜひご一読ください。
Dexta
海外経営の荒波の中で、スタッフとの関係に悩み、心が波立つ夜もあります。 そんな時、私がふと立ち止まり、呼吸を整えるために訪れる場所があります。 もしよろしければ、少しだけ眺めてみてください。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング(世古詞一著)
▶ 価値観が異なる現地スタッフの本音を引き出し、組織の定着率を変える
「相手の立場を理解する」ことは、精神論だけでは不可能です。本書は、1on1ミーティングを通じてスタッフの自律性を高めるための具体的な手法を提示しています。文化や言語の壁があるからこそ、こうした「仕組みとしての対話」が、組織の離職率を下げる強力な処方箋になります。


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