右腕が育ち、現場を任せられる——そう確信した矢先に、私は最大の失敗を経験しました。
品質クレームの裏に隠れていたのは、形骸化した検品と、信頼していたスタッフによるキックバックでした。
この記事では、「任せる」と「丸投げ」を履き違えた経営者の失敗談と、再発を防ぐガバナンスの要諦をお伝えします。
こんにちは、Dextaです。
「もう任せて大丈夫」という過信が始まりだった
そのスタッフは、製造現場の経験が豊富で、しかも気が利く。ちょっとした問題にも自発的に動いてくれて、言われる前に気づいて行動を起こしてくれるタイプ。
「ようやく現場を任せられそうな人材に出会えたかもしれない」
そう思えたのは、起業して数年が経った頃でした。日々のノルマもきちんと達成しており、現場の混乱も見られない。
気づけば私は、いつの間にか彼に多くを任せるようになっていました。
しかし、人を育てるのが苦手な私が学んだ、現場へ権限を譲るための具体的なステップを、この時の私は正しく踏めていなかったのかもしれません。
品質クレームが続いても「現場は大丈夫」と言い続けた
ノルマ達成が続く中、私は徐々に「現場はもう任せて大丈夫だろう」と考えるように。
そして最終的には、現場全体のオペレーションをほぼ彼に一任するようになっていました。
それが、苦悩の始まりでした。
任せてからしばらくした後、取引先から品質クレームが相次ぐようになったのです。この時はまだ、“嫌〜な予感”を直視しきれていませんでした。
- 製品の仕上がりにバラつきがある
- 異物混入の報告
- 基準外の製品が混ざっていた
最初はたまたまかと思っていましたが、頻度と内容からして“異常”でした。
現場に入ると、信じられない光景が広がっていた
重い腰を上げて再び現場に入ってみると、信じられない光景が広がっていました。
ノルマをこなすために、品質チェックの工程がほぼ形骸化していたのです。
- 本来3段階で確認すべきチェックを1回で済ませる
- 記録も後付け、もしくは省略
- 不良品率が高くても、出荷を止めない
さらに、備品の過剰発注とその横流し、見積の上乗せによるキックバックまで発覚。
あれほど信頼していたスタッフを、最終的には解雇せざるを得ませんでした。“任せていたつもり”だった自分の甘さを、一気に突きつけられました。
不正の温床を断つには、馴れ合いのないプロフェッショナルな視点を持った「外部人材」を管理職として迎え入れ、客観的なガバナンスを効かせることも一つの解決策です。
「任せる」と「丸投げ」は、何が違うのか
「気が利くから大丈夫」「ノルマを守ってるなら問題ない」
そうやって、私は“任せること”と“自分が楽すること”を履き違えていたのだと思います。
彼のことを疑う場面が無かった訳ではない。でも、もっと早く気づいて、一緒に現場を見て歩きながら、段階的に任せることもできたはずなんです。かつて合わない部下を右腕へと変えた対話術で得たはずの「観察」の視点が抜け落ちていたのかもしれません。
まとめ:現場の「空気」は、自分の足で拾いに行く
この一件以来、私はいかに右腕が育っても、現場には自分の足で立つことを忘れないようにしています。「人さえうまくいけば事業は半分成功」という言葉の重みを、この失敗を通じて改めて痛感しました。
- 日に数回は現場の空気を直接感じる
- スタッフの目つき・声色から「違和感」を拾う
- 現場の些細な変化や温度を、数字以外で確認する
「信頼してるけど、任せきりにはしない」
そのバランスを模索する日々です。
現地化は確かに大切なテーマですが、それは決して「丸投げ」することではありません。スタッフと関わる自分自身の姿勢そのものが会社を守るのだと、今では実感しています。
Dexta
信頼と管理のバランスを問い続ける経営の日々。少しだけ立ち止まって、静かに息を整えたいときに。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
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