現場 VS マネージャー 会社を揺らした対立と、その乗り越え方

海外ビジネス・生活のリアル

こんにちは、Dextaです。

海外で会社を運営していると、時折起こり得るのが「従業員同士の対立」です。それぞれの価値観、役割、経験年数、待遇、評価──さまざまな要素が絡み合い、時に小さな火種が大きな軋轢へと発展します。

この記事では、私が実際に経験した現場の若手リーダーと事務所の右腕マネージャーの対立を通じて、組織の空気を整えるために行った対応をまとめました。

1.若手リーダー達の不満が噴き出した日

現場で生じていた違和感は、ある日突然、形となって現れます。

若手の現場リーダー達が、私の右腕であるマネージャーへの不平不満を、私に直接ぶつけてきたのがまさにその瞬間でした。しかも、彼らがそういった話を切り出したのは、あえてマネージャーが不在の日。よほど思うところがあったのでしょう。

「当たりが強い」「待遇に甘えているように見える」──そんな声が次々と上がりました。私はとりあえず彼らの感情は否定せず、すべての言葉を丁寧に聞くことに徹しました。リーダー達の訴えの裏には、日々感じている葛藤や不安があることも理解していたからです。

2.あえてマネージャーには直接伝えなかった理由

リーダー達の話を聞いた後、最初に決めたのは「すぐにマネージャーに状況を伝えない」ことでした。片方の意見のみに基づいて判断すると、余計に対立を深める可能性があったからです。

そこで私は、何気ない雑談のような形で、マネージャーにも最近の現場の様子を聞き取りしてみました。すると、リーダー達が感じているような行き過ぎた指示や態度が多少見受けられる一方で、根本には若手側の“妬み”や“やっかみ”があることも分かってきました。

役割の差や待遇面の違いが、徐々に心理的距離を生んでいたのです。

3.権限と責任のラインを明確にした

状況を整理した上で、私はまず若手リーダー達に対してこう伝えました。

「マネージャーは私の代理であり、彼の言うことは私の言葉と同じである。」

これは、マネージャーの権限と立場を明確にし、組織としての意思決定のラインを理解してもらうためです。誰が何の責任を持ち、どの方向へ向かっているのか。それを共有しない限り、どれだけ話し合っても不満は形を変えて繰り返されるだけです。

一方で、マネージャーには現場サイド、特に若手リーダー達との「距離感」や「関係性」に注意するよう伝えました。部下が自分についてきたくなるのは、権限ではなく“信頼”によるものだからです。

4.毎日のミーティングが風通しを変えた

その後、私はこのメンバーでの毎日のミーティングを継続しました。最初のうちはぎこちなさや遠慮も残っていましたが、次第に互いの考えや課題を率直に話せるようになっていきました。

そして気づけば、以前のような摩擦は消え、むしろリーダー同士が主体的に動き始めたことで、現場全体の風通しが良くなったと感じています。対立の火種は、関係性を改善するきっかけにもなり得る──そう実感した出来事でした。

この毎日のミーティングは、今もまだ続けている習慣です。

5.対立は「悪」ではなく、組織を強くする種となる

出来るだけ社内での対立は避けたいものですが、組織においては成長のサインでもあります。

大切なのは、感情に振り回されず、事実を丁寧に拾い、権限と責任のラインを明確にすること。そして、対話の場を継続的に設けることです。

今回の経験を通じて、私は組織が少しずつ成熟していく手応えを感じました。今後も「問題が起きたときこそ、組織を強くするチャンス」という姿勢で向き合っていきたいと思います。


よろしければ、こちらもあわせてお読みください:

コメント