【海外経営】会議の「沈黙」と「形だけのYes」をどう打破するか。現地スタッフの本音を引き出す5つの仕掛け

海外ビジネス・生活のリアル

こんにちは、Dextaです。

「伝えたはずなのに、伝わっていない」
東南アジアで仕事をしていて、悩んだのも会議でした。
Yesと言われても、本当にYesなのか分からないーーそんな場面が何度もありました。

これは単に私の語学力だけの問題ではなく、“会議文化そのものの違い”に根ざしているのだと、年々感じるようになってきました。


1.【忖度の罠】なぜ現地のスタッフは「No」と言わないのか?表面的な肯定が招く経営リスクの正体

現地スタッフとの会議で「わかった?」と聞くと、たいていは黙ってうなずきます。でも実際には、全然わかっていなかった——そんなことが何度もありました。

これは彼らが「No」と言いにくい文化で育ってきたことが大きいのかもしれません。

特に外国人や上司の前では、場の空気を悪くしないよう“とりあえず肯定する”のが優しさ、という価値観があるように感じます。

現地化という名の丸投げが招いた、不正とキックバック発覚の苦い教訓はこちら


2.【発言の心理的障壁】「間違えたら恥ずかしい」という文化。沈黙を「合意」と勘違いしないための心構え

「ここまでで質問ある?」と聞いても、ほとんどの場合は沈黙。

特に私やマネージャークラスが発言した後ほど、誰一人発言しません。これは、発言する習慣が育っていないことが大きいです。

大人数の前で話すことに慣れておらず、「変なことを言って笑われたくない」「間違っていたら恥ずかしい」と感じるようです。


3.【情報の断絶】横の連携を阻む「自分の範囲外」という意識。情報の孤立を防ぐためのガバナンス術

日本では当たり前の「報告・連絡・相談」。
でも、東南アジアではまだまだ浸透していないように思えます。

問題が起きても「上司が忙しそうだから」「言っていいか判断できない」と黙ってしまう。
縦方向の報連相は比較的機能しても、横の連携になると一気に弱くなる印象です。

本来であれば横の連携をすることでスムーズになる筈の業務も、多くの人が目先のことにとらわれ、「自分のことだけやっていればいい」という感覚を持っているのも一因です。

結局のところ、“横の報連相がない”のではなく、“横方向では情報共有のメリットがないという思い込み”があるのかもしれません。

こうした組織の縦割りや情報の断絶を打破するには、経営者が一人で号令をかけるよりも、各部門を横断的に繋ぎ、コミュニケーションの質を管理できる『ブリッジ型のマネジメント人材』を配置するのが最も効果的です。現地の文化を尊重しつつ、日本的な報連相のメリットを現場に浸透させられるハイクラスな人材がいれば、組織の自律性は飛躍的に高まります。

[Samurai Job(JAC Recruitment)で、海外拠点の組織崩壊を防ぐ「ブリッジマネジメント人材」を相談する]

※『形だけのYes』がなくなる組織。その土台を作るのは、現場の空気を変えられる一人のリーダーかもしれません。」


4.【可視化の徹底】ホワイトボードと図解の活用。言葉の壁を超え、認識のズレを「ゼロ」に近づける手法

このような背景を踏まえ、私は会議のときにはなるべくホワイトボードを使い、図解して説明するようにしています。言葉だけでは伝わらないからこそ、視覚的なサポートが重要と考えています。

それでもミスコミュニケーションはゼロにはなりません。

だからこそ、どんなに忙しくても、今でも毎日の朝ミーティングは必須としています。
スタッフと顔を合わせ、「本当に理解しているか?」を見極めるための時間でもありますし、「言っても大丈夫」という雰囲気づくりの場でもあります。

とはいえ、それでもやっぱり行き違いは起きるのが東南アジア“あるある”です。(笑)


5.【心理的安全】「何を言っても大丈夫」という場作り。朝ミーティングを「指示」ではなく「聴取」の場に変える

会議や報連相がうまくいくかどうかは、単に仕組みの問題ではありません。
「この場だったら本音を言っても大丈夫」と思える関係性があるかどうかや、ある程度自由な発言を許容し合う雰囲気づくりにも気を配る必要があるのかもしれません。

だからこそ、現地のスタッフと信頼を築くことが、結局は伝達の質を左右するのだと思います。
時間はかかっても、安心して発言できる雰囲気づくりこそが、伝える文化を育てる第一歩なのです。

合わない部下を信頼できる『右腕』へと変えた、10年にわたる対話の記録


6.総括:伝わらないことを「当たり前」と捉え直す。異文化経営の醍醐味を味わうための、粘り強い対話の作法

東南アジアでの会議は、「説明する場」ではなく、少し(かなり?笑)大袈裟かもしれませんが「それぞれの文化を共有する場」といえるのかもしれません。

Yesと言われても、それが本当にYesかを疑い、確認事項の繰り返しや図解を駆使して相手の理解度を確かめる。その積み重ねが、少しずつ“伝わる文化”を作っていくのだと思います。

簡単ではありませんが、これもまた異文化経営の醍醐味のひとつです。

Dexta


書籍紹介:はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」(中原 淳著)

「形だけのYes」を突き崩し、スタッフを本気で変える「伝える技術」
記事で書いた『忖度してNoと言わないスタッフ』や『情報の断絶』。これらを放置しては、組織の成長は止まってしまいます。 本書は、立教大学教授の中原氏が、相手にショックを与えるだけでなく、納得させて行動を変えさせるための具体的な手法を解説した名著です。異文化の壁に阻まれ「伝わらない」と悩む経営者に、本音の対話を取り戻すための「勇気と技術」を与えてくれます。


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