海外で起業する上で最大の壁は「人」にあると、今でも常々感じています。
どれだけ良いアイデアや資金があっても、現地スタッフとの信頼関係が築けなければ、事業は前に進みません。
今回は、私が東南アジアで経験してきた現地スタッフとのチーム作りとマネジメントについて、実体験を交えてお話しします。
1.人材マネジメントこそ最大の課題
起業を志した当初、頭にあったのは資金繰りや原料調達、販売戦略でした。しかし実際に現地で事業を始めると、最も苦労したのは「人材マネジメント」だったかもしれません。
文化や価値観の違いから、どうしてもミスコミュニケーションが起こります。そのため、今でも毎日のミーティングは欠かせない習慣になっています。時間は取られますが、これを怠ると小さな誤解が大きな問題に発展してしまうからです。
2.日本式とのギャップに直面
日本では当たり前とされる「報連相」や「自主的な改善提案」が、必ずしも現地で通じるわけではありません。現地スタッフは指示を待つ傾向が強く、主体性を期待するとミスが生じることも多いです。
また、給与や待遇を重視する人が多く、「やりがい」や「責任感」を前面に出す日本的なスタイルだけでは動機付けが難しいのが現実です。
3.工夫してきたチーム作りの方法
そこで私が実践してきたのは、いくつかの工夫です。
- 文化を理解する姿勢を持つこと - 宗教行事や家族優先の価値観を尊重する。
- ルールをシンプルにすること - 守るべきポイントを明確にし、複雑さを排除する。
- 全てを任さずフォローすること - 完璧を求めず、チェックの仕組みを用意する。
さらに、幹部社員や優秀なワーカーとの定期的な会食を通じて、信頼関係を強めています。また、年に一度の社員旅行やレクリエーションも実施し、チーム全体の一体感を高める工夫をしています。
こうした取り組みが、少しずつスタッフの定着やモチベーションの向上につながっているのではと考えています。
4.信頼関係がもたらす成長
現地でのビジネスは、短期的な成果だけを追っても続きません。
むしろ、一緒に働くスタッフが長く勤めてくれる環境を整えることが、事業の持続性を左右します。例えば給料の金額といった分かり易い指標で人が動きやすいからこそ、日々のコミュニケーションや信頼の積み重ねが最終的にチームの成長を生みます。
特に東南アジアでは「口コミ」で良い人材が集まることも多いため、一人でも信頼できる人が根付けば、その後の採用や育成が格段に楽になるのです。
5.チーム作りが事業のカギ
海外起業において、最大の試練は人材マネジメントとも言えます。
文化の違いに直面しながらも、相手を理解し、ルールや指示を分かりやすくシンプルにし、信頼関係を築くことで、少しずつ強いチームが育っていきます。
私にとっても、今もまだ日々の試行錯誤の連続ですが、この経験こそが東南アジアで起業を続ける力になっています。
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