採用してもすぐ辞めてしまう——東南アジアで会社経営していると、これは日常です。
でも「辞めるのが当たり前」と諦める前に、できることはまだあります。給与だけでは繋ぎ止められない現地スタッフが、長く働きたいと思える職場をどう作るか。
この記事では、私が現場で試行錯誤してきた5つの実践をお伝えします。
こんにちは、Dextaです。
「ここで働きたい」と思わせる。食事・休憩・通勤から見直す
給与体系や人事評価制度も大切ですが、まずは「ここで働きたい」と思ってもらえる環境づくりが欠かせません。
実際、食堂で支給される食事の質や休憩スペースの快適さといった細かい点が、スタッフのモチベーションを大きく左右していると感じます。
特に通勤時間は意外な盲点で、長ければ長いほど本人にとって大きな負担となり、早期離職の要因になりかねません。
結果的に「居心地が悪い」と感じれば、給与が良くても辞めてしまうことも多々あります。だからこそ、物理的な環境改善や日々の小さな気配りが、離職防止の第一歩になると痛感しました。
給与より「信頼されている実感」が定着を生む
東南アジアのスタッフは「安定して家族を支えられるかどうか」を重視する傾向があります。
私が印象に残っているのは、昇給よりも交通費や役職手当、皆勤賞といった制度面を強く気にしていたスタッフです。
給与だけでなく、役割や責任を持つことで「自分は信頼されている」と感じることがモチベーションにつながります。
お金を超えた「誇り」や「安心感」を提供できるかどうかが、長期定着の分かれ目だと実感しました。
「安ければ良い」という罠。納得感のある処遇が長期定着の鍵
採用面接で「給料はいくらでも良い」と言われると、つい鵜呑みにしそうになります。
しかし、その言葉を信じて低めに設定すると、後になって「やっぱり条件が合わない」と退職につながるケースが多々ありました。
逆に、有望な人材ほど自分の市場価値を理解しています。希望額を丁寧に聞き出し、相手が納得できる水準で雇用することが大切です。
「給料はいくらでも良い」という言葉は、だいたいの場合、“今の気分ではね”という事なのかもしれません。(笑)
短期的なコスト削減を優先するよりも、長く働いてもらえる条件を整える方が、結果的に会社にとって大きなプラスになると感じます。
給料日翌日の「突然退職」を防ぐには。東南アジア特有の金銭感覚と、定着率を高める3つの工夫。
特に、組織の要となるマネージャークラスの採用においては、彼らの『市場価値』を正確に把握し、納得感のあるオファーを出すことが定着の絶対条件です。JAC Recruitmentのようなハイクラス専門のエージェントを通じて、現在の適正な相場や他社の動向を把握しておくことは、優秀な右腕を失わないための守りの経営でもあります。
突然の退職は、数ヶ月前の悩みから始まっていた
突然退職を申し出たスタッフに理由を尋ねると、「実は数カ月前から悩んでいた」と打ち明けられたことがありました。
日頃から元気がない、集中力を欠いている様子に気づきながらも声をかけなかった結果、手遅れになることもあります。それ以降、私は毎日現場に入り出来るだけ声を掛け、同僚を通じて声を拾ったりするようにしました。
小さな不安を早い段階で解消できれば、退職を防げることも少なくありません。「気づいてもらえない」ことが一番の不信感につながるのだと思います。
現地スタッフの突然の欠勤をどう防ぐか〜運用ルール構築術。
古参と新人の摩擦を防ぐ。歓迎される職場の空気の作り方
新しく入ったスタッフが古参の社員に冷遇され、数週間で辞めてしまったこともありました。
古参スタッフにとっては「新しい人材が自分の立場を奪うのでは」という不安があったのです。
そこで私は「新戦力は脅威ではなく、会社の成長を助け、最終的には自分たちの待遇改善にもつながる」と繰り返し伝えました。古参スタッフの不安を和らげると同時に、新人にも「歓迎されている」と感じてもらえるよう工夫しました。
結果として、チーム全体の空気が改善し、離職率も下がりました。
まとめ:「ここで成長できる」という実感が、最強の定着剤になる
スタッフに「ここで成長できる」と思ってもらえるかどうかは、定着に直結します。
以前は研修制度を整えていませんでしたが、経験者が新人を教える仕組みを取り入れると、現場の雰囲気が大きく変わりました。新人は安心して学べ、ベテランは「自分が頼られている」と感じる。
こうした相互の関係がチームの結束を強め、辞めにくい環境を作っていきました。特別な仕組みを導入しなくても、小さな工夫で「学びの場」を作れるのです。
居心地の良さを整え、お金以外の動機づけを意識し、納得できる給与条件を整え、悩みを早めに拾い、さらに新人が孤立しない環境と学びの場を提供することで、スタッフは「ここで働き続けたい」と思えるようになります。
人材マネジメントに決して正解はありませんが、少なくとも「採用して終わり」ではない、という点だけは確かだと思います。
人材マネジメントの本質は、採用後にこそあるのだと強く実感しています。
履歴書を信じない採用術。東南アジアで「面接のプロ」ではなく「仕事ができる人」を見抜く5つの工夫。
Dexta
採用して、育てて、それでも去っていく。その繰り返しの中で経営者は何を学ぶのか。少しだけ静かな時間を。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:心理的安全性のつくりかた「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える(石井 遼介著)
▶ 離職を防ぎ、スタッフが「本音」で話せる現場を科学する
記事で書いた『数ヶ月前から悩んでいた』という声。これを拾えるかどうかが定着の分かれ目です。 本書は、単なる「仲良しクラブ」ではなく、スタッフが不安を感じずに意見を言い、困難を共に乗り越えられる「心理的安全性」をどう構築するかを説いています。東南アジアという不確実な現場で、スタッフと強い信頼の絆を結びたい経営者に、明確な答えを与えてくれます。


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