東南アジアで起業してからの数年間を振り返ると、「誰が決めるのか」「その結果に誰が責任を持つのか」という場面で、何度も立ち止まってきました。
資金繰り、採用、解雇、権限の移譲——どれも正解が用意されているものではなく、覚悟をもとに判断を下し続けるしかありませんでした。
当時はそれが「経営者の役割」だと理解していたわけではなく、今振り返ると、ただ逃げ場がない、という感覚だったのを覚えています。
この記事では、記事11〜15を振り返りながら、起業初期に学んだ「経営者の判断と責任」を整理し
ます。
こんにちは、Dextaです。
決断できるのは経営者だけ。「正しくある人」から「責任を負う人」へ
起業初期は、分からないことだらけでした。
周囲に相談できる人はいても、最後に「決断する」のは常に自分でした。
誰かの意見を採用するにしても、採用しないにしても、その結果がどう転んでも責任は経営者である自分に戻ってきます。
この時期に痛感したのは、経営者とは「正しくあるべき人」ではなく、「決断し、その責任を負う人」なのだということでした。
数字を見せるだけでは伝わらない。判断プロセスの共有という考え方
会計資料や数字をオープンにすれば、経営判断も自然と共有できるのではないか──今考えてみるとその甘さが恥ずかしい限りですが(笑)──当時はわりと本気でそう考えていました。
しかし実際には、「数字を見ること」と「そこから判断できること」は別物でした。
数字をどう読むか、その背景をどう解釈するかは、立場や経験に大きく左右されます。
この経験から、判断そのものを共有しようとするより、自分が判断を下すまでの情報を丁寧に積み重ねる方が現実的だと考えるようになりました。
判断ミスを許容し、最後の一線を守る。ガバナンスの本質
現地での経営では、判断ミスを避けることはできません。むしろ、失敗を前提に進まなければ前に進めない場面の方が多くありました。
誰かの判断がうまくいかなかった時、それを「個人の責任」にしてしまえば、組織はすぐに萎縮します。
だからこそ、ある程度の間違いを許容する代わりに、最終責任は経営者が引き受ける。その線引きを、自分の中で明確にする必要がありました。
丸投げではない本当の「現地化」をどう実現するか。品質崩壊や不正を防ぐための具体的なガバナンスの要諦については、こちらの記事が参考になります。
任せた後の方がつらかった。「見守り続ける」という覚悟
人を育て、任せると決めた後の方が、正直つらい場面は増えました。
思うように成長しない、判断が甘い、結果が出ない。時には裏切られたと感じることさえありました。それでも途中で諦めてしまうと、 「任せる」という選択自体が形骸化してしまいます。
この時期に学んだのは、任せるとは、放置することではなく、逃げずに見守り続けることでした。
そもそも「任せられる人材」をどう見極めるべきか。履歴書に頼らず、現場で本当に動けるスタッフを見抜くための私の基準をまとめています。
経営者の孤独な判断を支える右腕人材の確保は、思いのほか早い段階から検討する価値があります。
自社でゼロから育てる苦労も尊いですが、最初から自走できるリーダーを迎えることが、経営者の精神的な安定と事業成長の近道になることもあります。
正解を求めることをやめた日。「結果に責任を持てるか」という問い
最終的に、経営判断は常に一人称でしか下せません。
「みんなで決めた」「相談して決めた」と言える状況があったとしても、結果の責任を引き受けるのは経営者一人です。
それは本当に孤独なことであり、同時に経営者という立場の本質でもあります。
この現実を受け入れてから、 判断に対して過度に正解を求めることは減りました。 代わりに、「結果に責任を持てるかどうか」を軸に考えるようになった気がします。
まとめ:孤独を受け入れ、一人称で判断し続けることが経営者の本質
起業初期に直面した判断の数々は、どれも必ず正解にたどり着けるものではありませんでした。
それでも、判断の機会を避けず、なるべく責任から逃げずに向き合い続けた経験が、今の自分の経営スタンスを形づくっていると感じています。
記事11〜15で書いてきたのは、成功談ではなく、判断と責任を引き受け続けた記録になっているかもしれません。
これからもその姿勢だけは、変えずに続けていきたいと思います。
東南アジアで「うまくいかない人」に共通するパターンについては、こちらもあわせてどうぞ。
Dexta
決断し、責任を負い、また前を向く。経営者の孤独な日々の合間に、少しだけ静かな時間を。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
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