この時期を振り返ると、経営の重心が少しずつ変化していった感覚が思い出されます。
覚悟や気合といった個人の内面の問題ではなく、「どうすれば組織として無理なく続けられるか」という課題に向き合う時間でした。
自分ががむしゃらに働けば何とかなる——そう信じてきたやり方が限界を迎えた時期の記録です。
以下では、記事15〜25を通して経験した出来事を振り返りながら、 「個人の覚悟」から「組織の組み立て」へと視点が移っていった過程を整理していきます。
こんにちは、Dextaです。
経営者の「頑張り」が組織の成長を止めていた。自転車操業からの脱却
この頃までは、多少無理をすれば自分が動くことで大抵のことは何とかなる、そんな感覚をまだ手放しきれずにいました。
それは体力や気力の問題というよりも、「経営者とはそういう役割なのだ」と、どこかで思い込んでいた部分が大きかったのだと思います。
自分が前に立ち続けることで回っているように見えて、実際には判断が集中し、全体の動きを鈍らせていた。その違和感を、ある出来事をきっかけに、はっきりと自覚するようになります。
この違和感が、結果的に「自分が無理をして回しているだけの状態」だったことを、後になって突きつけられました。
現場に張り付いていた自分が、いかに「自転車操業」的な判断に終始していたか。銀行融資に頼らず現金を確保し続けた、当時の生々しい財務戦略についてはこちらにまとめています。
「任せているつもり」の落とし穴。仕組みなき委任が招くズレ
当時は「従業員を信頼して任せているつもり」でした。
むしろ、信頼しているからこそ細かく口出しをしない、それが正しい任せ方だと考えていたように思います。
ただ今振り返ると、そこには任せ方の基準や仕組みがなく、自分の期待だけが先行していました。
何を、どこまで、どんな判断基準で任せるのか。その線引きが曖昧なまま、任せた“つもり”になっていただけだったのです。
そして、その曖昧さは、時間が経つにつれて小さなズレとなり、やがて問題として表に出てきました。
仕組みを整え、任せる範囲を広げていくためには、最初から自走できるリーダー層の存在が大きな助けになります。
ゼロから育てることも大切ですが、経験豊富な管理職を迎えることで、仕組み化のスピードが格段に上がることもあります。
特定の人材への依存が、組織を不安定にしていた
人に頼ることで組織は回りますし、実際、この時期は特定のスタッフに助けられた場面も多くありました。その人の判断力や行動力に、何度も救われたのは事実です。
ただ、その頼り方が積み重なるほど、組織そのものが不安定になっていく感覚も強まっていきました。
特定の人がいないと回らない状態が続くほど、「組織としての形」が少しずつ崩れていくのを感じていたのです。
人に頼ることと、人に依存することは似ているようで、まったく違う。その違いを、頭ではなく実感として学んだ時期だったと思います。
特定の人材に依存せず、かつ信頼して任せるためには、採用段階での見極めがすべてです。私が10年かけてたどり着いた「履歴書を信じない」選考基準を公開しています。
仕組みを作ると、感情的な距離が生まれる。それも必要な衝突だった
組織の仕組みを作ろうとすると、どうしても感情的な距離が生まれます。
それを「態度が変わった」「冷たくなった」と受け取られることもあり、実際に関係がぎくしゃくした場面もありました。
仕組みを作ることは、感情を排除することだと誤解されがちですが、近すぎる関係のままでは判断が揺らぎ、結果的に、どちらも苦しくなる。
そのことに気づくまでには、ある種の衝突が必要でした。
任せた先にも残る「最後の責任」。経営者の役割は変わらない
仕組みを整え、役割を分け、距離を取っても、最後に残る経営者の責任だけは変わりませんでした。
任せる範囲を広げ、判断元を分散させても、最終的な責任から逃れられるわけではありません。
むしろ、「色々と手放したからこそ、残された責任がはっきり見えた」。そんな感覚に近かった気がします。
この時期の経験は、経営者としての覚悟の“量”ではなく、“質”を変えた出来事だったと思います。
まとめ:「個人の覚悟」から「組織の力」へ。仕組みが事業を続けさせる
記事15〜25を振り返ると、この時期は「成長」というよりも、「整理」に近い時間だったように思います。
自分が前に出続けるやり方の限界に気づき、任せ方を誤り、頼る怖さを知り、距離を取ることの意味を考え続けました。
どれも、うまくいった話ではありません。ただ、その一つひとつが、「個人の覚悟」だけでは事業は続かない、という現実を少しずつ教えてくれました。
この後の記事では、こうして組み直した組織とともに、さらに別の課題や判断に向き合っていくことになります。
次のフェーズは、仕組みを作ったその先で、再び人と向き合い直す時間でした。
内部不正を防ぐ組織のガバナンスについては、こちらもあわせてどうぞ。
Dexta
仕組みを作り、手放し、それでも残る責任と向き合う日々に、少しだけ静かな時間を。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:「仕組み化」の経営術(清水 直樹著)
▶ 自分がいなければ回らない」という限界を突破し、組織を自走させる指針
「自分がいなければ回らない」という限界を感じている経営者に向けて、組織を自走させるための実践的な手法を解説した一冊です。人への依存から仕組みへの依存へと転換するプロセスを体系的に整理しており、海外拠点の仕組み化に取り組む経営者にとって、具体的な指針となります。


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