空港のカウンターで止められ、搭乗を拒否された——そんな経験が私にはあります。
ビザは持っていた。でも、再入国許可を取っていなかった。この記事では、海外経営20年で痛感したビザ・入国管理の落とし穴と、今すぐ使える対策を実務ベースで紹介します。
こんにちは、Dextaです。
エージェントか内製か。ビザ申請の判断基準
起業当初、一番迷ったのが「ビザ申請を誰に任せるか?」という問題でした。
外部のエージェントに頼めば確実だし、移民局との関係も太かったりもします。でも、その分費用はかなり高めです。
一方で、自社スタッフに申請を担当させればコストは抑えられます。実際、私も最初の数年は社内申請でやっていました。でも、細かな制度変更に都度対応したり、書類の不備で却下されたりと、精神的な消耗はかなりのものでした。(正直、何度ため息をついたことか・・・笑)
どちらにも一長一短があり、会社のフェーズによってはやり方を見直す必要があると痛感しました。
知らないと罰則。ビザの「権限範囲」の落とし穴
意外と見落としがちなのが、ビザには「権限の範囲」があるという点です。
たとえば営業担当のビザで技術系の仕事をすると、規定違反になることも。悪気はなくても、「職種外活動」として罰則対象になるリスクがあります。
これを知らないでいると、移民局から呼び出しなんてことも・・・
海外の就労ビザにおいては、「やれそうなこと」と「やっていいこと」は違う——それを身にしみて学びました。
外資規制や法務リスク全般については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
実録:空港で搭乗を止められた日のこと
これは今でも忘れられません。
重要な商談のために日本へ一時帰国する予定だったある日、空港で入国審査官に止められました。
「この滞在許可、再入国許可が別途必要ですよ」
……まさにその“別途”を見落としていたのです。
就労ビザがある=自由に出入りできる、と思い込んでいた私の完全なミス。頭が真っ白になり、その場で搭乗を諦めざるを得ませんでした。(その後、重要な商談がどうなったかは、想像にお任せします・・・笑)
この経験以降、「ビザは持っていれば安心」ではなく、「出入国手続きの運用まで理解してこそ意味がある」と考えるようになりました。
ビザの手続きや制度の変化に対応するには、現地の言葉や英語で情報を直接取りに行く力が、じわじわと効いてきます。
私自身、英語でのやり取りができるかどうかで、行政手続きのスピードが大きく変わると実感してきました。海外で長く生きていくための英語力を、早いうちに鍛えておくことをお勧めします。
「うっかり」が命取り。二重アラートで期限を守る
また、ビザの更新についても「うっかり」が命取りです。
ある年、現場が忙しくて更新作業を後回しにしていたら、期限ギリギリで手続きが間に合わず、一時的に出国せざるを得なくなり業務がストップ。社員にも迷惑をかけてしまいました。
以来、自社スタッフへのリマインドはもちろんのこと、私自身もカレンダーに更新期限の“二重アラート”を入れ、必要書類の準備も1か月以上前から取り掛かるようにしています。
国によってこんなに違う。4カ国のビザ事情
私が実際に関わったり、周囲から聞いた範囲で感じた各国のビザ事情はこんな感じです:
マレーシア
Employment Pass(EP)が中心。デジタル化が進み、他国に比べればオンライン申請の透明性は高い。
ただし、近年は最低給与基準の引き上げや、現地人雇用の優先順位が厳格にチェックされる傾向にあり、油断は禁物です。
※2026年6月1日より、EPの最低給与要件が全カテゴリーで約2倍に引き上げられる予定。更新時に基準を満たさなくなるケースも想定されるため、早めの確認が必要。
タイ
Non-Bビザ+ワークパーミットの二段階方式。
外国人1人に対しタイ人4人の雇用義務(および社会保険加入)という「4対1」ルールは依然として高く、資本金要件も含め、小規模拠点には依然として高い壁です。
※2025年10月より電子申請(e-WorkPermit)に移行済み。
インドネシア
KITAS取得の前にまずRPTKA(外国人労働者活用計画)の承認が必要。
近年はオンラインシステム「TKA Online」での管理が強化され、書類の整合性(学歴や職歴の証明)に一切の妥協が許されない「最も神経を使う国」の一つです。
ベトナム
労働許可証(WP)を取得してから就労ビザへ。
専門家としての証明(学位と3年以上の職歴証明)の公証・認証手続きが非常に煩雑で、地方当局によって解釈が異なるなどの「現場での調整力」が試される状況が続いています。
まとめ:制度は「変わるもの」と心得る
制度や書類に追われる日々の中でも、「これも経営の一部」と捉えて丁寧に積み重ねていく。そんな意識が、海外起業の継続には欠かせないのかもしれません。
実際、行政手続きの多くを任せているのは現地の右腕です。彼らと信頼関係を築き、マネージャーに育てるまでの対話術が、結果的にこうした実務の安定にも繋がっていきます。
と同時に、制度の変更に柔軟に対応できる組織作りについては、こちらもあわせてどうぞ。
Dexta
ビザの手続き、制度の変化、終わりのない実務の連続。少し立ち止まって、静かに息を整えたいときに。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:海外危機管理ガイドブック(深津 嘉成著)
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