文化も価値観も異なる現地スタッフと、どう信頼関係を築いたか?

起業ストーリー

こんにちは、Dextaです。

海外で起業して事業を始めるにあたり、設備や資金と同じくらい重要なのが「人」の問題。特に、異文化の中でスタッフとの信頼関係をどう築くかは、経営者にとって避けて通れないテーマです。

この記事では、私自身が現地で経験してきたスタッフとの距離感・信頼関係構築のリアルについてお話します。


1.幹部候補とのギクシャクしたスタート

起業当初に採用した幹部候補スタッフとは、最初からうまくいったわけではありません。

言葉の問題ではなく、「感覚」や「考え方」の違いです。

たとえば、

  • 相手のちょっとした一言が、いちいち気に障ったり、
  • その逆もまた然りだったり、
  • 報告の内容がダラダラと長く、要点がつかめなかったり。

ただ、その時に私が意識したのは「頭ごなしに注意しないこと」。いったん受け止めた上で、日々のコミュニケーションの中ですこしずつお互いのやり方や価値観をすり合わせていきました。

今振り返ると、「正しさ」ではなく「相手の立場を理解する」ことが、信頼構築の第一歩だったのだと思います。


2.東南アジアでは「転職」は当たり前

東南アジアで人を雇うときに、日本と最も違う点のひとつが「転職に対する感覚」です。

多くのスタッフは終身雇用の意識が薄く、数千円(極端な場合は数百円)の給与差だけであっさり転職してしまうことも珍しくありません。

ではどうすべきか?会社に対する「愛着」や「仲間意識」をどう重ねていけるかが大事になります。


3.定着率アップの工夫:制度・仕組み・レクリエーション

特に専門性が高く、熟練度を必要とするような、時間をかけて育成したいスタッフに対しては、長期雇用を見据えた仕組み作りが重要です。

私の会社で取り続けてきた工夫をいくつかご紹介すると、

  • 成果に応じたインセンティブ制度(職種や職位に応じて設計)
  • 勤続年数に応じた福利厚生(健康診断や交通手当など)
  • 社員旅行やスポーツ大会などのレクリエーションの実施
  • 社員表彰制度や感謝イベント

これらは一見“コスト”に見えるかもしれませんが、スタッフが「ここで長く働きたい」と感じるための環境づくりになってくれるのです。


4.専門職に必要な法的知識:小さな誤解が大きなリスクに

外国人が現地で起業して人を雇う場合、自身の労働ビザがどういった種類であるかの確認も必要です。

たとえば、自分の専門職が人事や採用を含んでいないのに、直接現地の採用に関わると、労働局や入国管理局から指導を受けるリスクがあります。

他社の例ですが、ある時、イミグレから「あなたのビザで採用に直接関わるのは職務違反だ」と注意されたことも。

ですので、採用活動は信頼できるローカルスタッフや人材派遣会社を通じて進めるのが基本。この辺りの法的リスクも、起業家としては抑えておくべきポイントです。


5.信頼は「時間」と「理解」の積み重ね

信頼関係とは、一朝一夕で築けるものではありません。

特に文化や価値観が異なる海外では、「伝えたつもり」「分かってくれるはず」が通用しない場面も多く、誤解やすれ違いは日常茶飯事です。(日本でいうところの「空気を読む」という感覚があまり無いのかもしれません。)

それでも、日々の対話や小さな約束の積み重ね、スタッフ一人ひとりの背景や考え方を理解しようとする姿勢が、確かな信頼の土台になっていきます。

たとえ最初はうまくいかなくても、「長く一緒に働きたい」と思ってもらえる関係性を目指して、一歩ずつ歩み寄る姿勢を大切にしていきたいと思っています。

とは言いましても、どんなに採用活動に力を入れたとしても、転職してしまう社員が出てくるのもまた事実。そこで落ち込まずに頭を切り替える事も、東南アジアで起業する際の必要なスキルになってくるのかもしれません。

Dexta


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