「今月の売上は?」と聞いても即答できない。
数字を入力しても分析につながらない——東南アジアで経営して気づいたのは、これはスキルの問題ではなく、文化と習慣の問題だということでした。
この記事では、数字に弱いスタッフとどう向き合い、どう習慣を根付かせるかを実体験ベースでお伝えします。
こんにちは、Dextaです。
「売上」と「利益」の区別がつかない、という現実
実際に現地で経営をする中で、避けて通れない壁があります。
それが「数字に強いスタッフがいない」という問題です。
会社を立ち上げて数年が経ち、現場の管理やスタッフの育成が少しずつ形になってきた頃、会計資料を現地スタッフと共有し、経営者と同じ目線を持ってもらおうと取り組んだ時期がありました。ところがそこで思い知らされたのが、「数字の感覚がまったく共有されていない」という現実でした。
なぜマネージャーでも数字を「感覚」で回してしまうのか
たとえば、「今月の売上は?」「粗利率はどれくらい?」と聞いても、即答できるスタッフはいません。感覚的な返答や、「わかりません」とはっきり言われることもあります。
「わかりません」という回答には正直かなり戸惑いました・・・(笑)
最初は「慣れていないだけだろう」と軽く考えていましたが、実際にはこれはスキルの問題というよりも、文化と習慣に根差したものなのかもしれません。
Excelへの入力は「作業」であり「思考」ではない
特に、数字で考えたり説明したりするという思考そのものが育っていないと感じました。会計ソフトやExcelを使っていても、入力した数字をもとに分析する文化がなく、集計はしても、それが意思決定につながっていないのです。
特にマネージャー以下のスタッフにその傾向が顕著で、経営から距離があるほど数字には疎くなる傾向があります。言われたことをこなす、数字を打ち込むだけ、というスタッフが多いのもまた事実です。
数字で語れない根本には、言語の壁もあります。経営者の意図を正確に伝え、数字の意味を共有するには、英語でのコミュニケーション力が思いのほか効いてきます。私自身、言葉の壁が薄くなるほど、スタッフとの数字の共有がスムーズになると実感してきました。
ミスを見逃す文化と、形骸化するダブルチェック
この傾向は、数字だけに限った話ではありません。
書類の正確性という面でも、たびたび壁にぶつかってきました。たとえば、日付や住所の打ち間違い、Excelの関数ミス、計算結果がおかしくても気づかずにそのまま提出される、といったことが日常的に起きていました。
「現地化」という名の丸投げが招いた品質崩壊の苦い経験も、こうした小さな綻びの放置から始まりました。
私やローカルマネージャーがチェックしても、すり抜けてしまうミスはどうしても出てしまい、取引先からの指摘で初めて発覚することもあります。
もちろん、全員がそうというわけではありませんし、個人の資質による部分もあります。ただ、あえて言えば「確認しない」ということが、一種の文化として根付いている印象を受けています。
「確認しない」ということが一種の文化として根付いている現場では、性善説は通用しません。ダブルチェックをルール化しても、ただサインをするだけの「形骸化」が起きてしまう。この壁をシステムでどう乗り越えるかが、ガバナンスの要となります。
見える化と責任の明確化。私が行き着いた現実解
こうした状況に対して、いくつかの対策を講じてきました。まずは、適材適所を意識した人材の配置換え(とはいえ、これも一筋縄ではいきませんが……)。そして、書類の提出フローにチェック項目を設け、必ずダブルチェックするよう運用を見直しました。
その結果、少しずつではありますがイージーミスは減ってきています。実感としては「ようやくトンネルの出口が見えた」程度ですが、それでも完全に撲滅できたわけではありません。
今日もまた、スタッフが作成した書類を一つひとつ目で追い、何度も数字を確認している自分がいます。(笑)
人を育てるのが苦手な私が学んだ、現場へ正しく権限を譲るための具体的なステップにおいても、この「数字の共有」は避けて通れない関門です。
まとめ:数字の習慣は、急がば回れで根付かせる
数字に強いスタッフを育てるということは、簿記や会計の知識を得ることではなく、数字で考える習慣を、日々の業務の中で繰り返し問いかけながら、根気強く植え付けていく作業なのだと感じています。
スタッフ教育で直面する壁は高いですが、この部分だけは「急がば回れ」というスタンスを取る必要があると、今でも強く感じています。
数字を任せられる右腕を育てるプロセスについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。
Dexta
数字と向き合い、スタッフを育てる。終わりのない経営の日々に、少しだけ静かな時間を。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:会計の神様が教えてくれた お金のルール(天野 敦之著)
▶ 数字を「作業」から「誇り」に変える、教育のバイブル
スタッフに必要なのは、計算式ではなく「数字が持つ意味」の理解です。本書は会計の本質を平易な言葉で説き明かしており、数字に疎い現場スタッフの意識改革に最適な一冊です。「急がば回れ」で伝えたい本質が、ここに凝縮されています。


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