数字に弱い現地スタッフとどう向き合うか——東南アジア経営の壁

海外ビジネス・生活のリアル

こんにちは、Dextaです。


今回は、東南アジアで零細企業を経営する中で避けて通れなかった「数字の壁」について、実体験を交えてお話ししたいと思います。

1.最初にぶつかる数字の壁

実際に現地で経営をする中で、避けて通れない壁があります。
それが「数字に強いスタッフがいない」という問題です。

会社を立ち上げて数年が経ち、現場の管理やスタッフの育成が少しずつ形になってきた頃、会計資料を現地スタッフと共有し、経営者と同じ目線を持ってもらおうと取り組んだ時期がありました。ところがそこで思い知らされたのが、「数字の感覚がまったく共有されていない」という現実でした。

2.数字を聞いても答えが返ってこない

たとえば、「今月の売上は?」「粗利率はどれくらい?」と聞いても、即答できるスタッフはいません。感覚的な返答や、「わかりません」とはっきり言われることもあります。

最初は「慣れていないだけだろう」と軽く考えていましたが、実際にはこれはスキルの問題というよりも、文化と習慣に根差したものなのかもしれません。

3.数字で考える文化がない

特に、数字で考えたり説明したりするという思考そのものが育っていないと感じました。会計ソフトやExcelを使っていても、入力した数字をもとに分析する文化がなく、集計はしても、それが意思決定につながっていないのです。

特にマネージャー以下のスタッフにその傾向が顕著で、経営から距離があるほど数字には疎くなる傾向があります。言われたことをこなす、数字を打ち込むだけ、というスタッフが多いのもまた事実です。

4.書類の正確性というもう一つの壁

この傾向は、数字だけに限った話ではありません。

書類の正確性という面でも、たびたび壁にぶつかってきました。たとえば、日付や住所の打ち間違い、Excelの関数ミス、計算結果がおかしくても気づかずにそのまま提出される、といったことが日常的に起きていました。

私やローカルマネージャーがチェックしても、すり抜けてしまうミスはどうしても出てしまい、取引先からの指摘で初めて発覚することもあります。

5.「確認しない文化」という根深さ

もちろん、全員がそうというわけではありませんし、個人の資質による部分もあります。ただ、あえて言えば「確認しない」ということが、一種の文化として根付いている印象を受けています。

6.試行錯誤と小さな改善

こうした状況に対して、いくつかの対策を講じてきました。まずは、適材適所を意識した人材の配置換え(とはいえ、これも一筋縄ではいきませんが……)。そして、書類の提出フローにチェック項目を設け、必ずダブルチェックするよう運用を見直しました。

その結果、少しずつではありますがイージーミスは減ってきています。実感としては「ようやくトンネルの出口が見えた」程度ですが、それでも完全に撲滅できたわけではありません。

今日もまた、スタッフが作成した書類を一つひとつ目で追い、数字を確認している自分がいます。(笑)

7.数字の習慣を育てるということ

数字に強いスタッフを育てるということは、簿記や会計の知識を得ることではなく、数字で考える習慣を、日々の業務の中で繰り返し問いかけながら、根気強く植え付けていく作業なのだと感じています。

東南アジアで企業を経営していく中でも、この部分だけは「急がば回れ」というスタンスを取る必要があると、今でも強く感じています。

Dexta


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