こんにちは、Dextaです。
海外で会社を経営していると時折悩まされるのが、ビザや入国管理などの「地味だけど致命傷になり得る」実務です。
必要な書類は山のようにあるし、手続きは毎年変わるし、何より更新を忘れたときのダメージが大きすぎます。今回は、そんな「ビザ」と「入国管理」について、実体験をもとにお話ししたいと思います。
1.エージェントか?自社でやるか?迷い続けた選択
起業当初、一番迷ったのが「ビザ申請を誰に任せるか?」という問題でした。
外部のエージェントに頼めば確実だし、移民局との関係も太かったりもします。でも、その分費用はかなり高めです。
一方で、自社スタッフに申請を担当させればコストは抑えられます。実際、私も最初の数年は社内申請でやっていました。
でも、細かな制度変更に都度対応したり、書類の不備で却下されたりと、精神的な消耗はかなりのものでした。どちらにも一長一短があり、会社のフェーズによって見直す必要があると痛感しました。
2.ビザには“できること”と“できないこと”がある
意外と見落としがちなのが、ビザには「権限の範囲」があるという点です。
たとえば営業担当のビザで技術系の仕事をすると、規定違反になることも。悪気はなくても、「職種外活動」として罰則対象になるリスクがあります。
これを知らないでいると、移民局から呼び出しなんてことも・・・
海外の就労ビザにおいては、「やれそうなこと」と「やっていいこと」は違う——それを身にしみて学びました。
3.出張の当日に空港で判明。「出国できない!?」
これは今でも忘れられません。
重要な商談のために日本へ一時帰国する予定だったある日、空港で入国審査官に止められました。
「この滞在許可、再入国許可が別途必要ですよ」
……まさにその“別途”を見落としていたのです。
就労ビザがある=自由に出入りできる、と思い込んでいた私の完全なミス。頭が真っ白になり、その場で搭乗を諦めざるを得ませんでした。
4.ビザ更新を“後回し”にした代償
また、ビザの更新についても「うっかり」が命取りです。
ある年、現場が忙しくて更新作業を後回しにしていたら、期限ギリギリで手続きが間に合わず、一時的に出国せざるを得なくなり業務がストップ。社員にも迷惑をかけてしまいました。
以来、自社スタッフへのリマインドはもちろんのこと、私自身もカレンダーに更新期限の“二重アラート”を入れ、必要書類の準備も1か月前から取り掛かるようにしています。
5.ASEAN4か国の特徴ざっくり比較
私が実際に関わったり、周囲から聞いた範囲で感じた各国のビザ事情はこんな感じです:
マレーシア
Employment Passが中心。比較的スムーズ。
審査はあるが、制度としては整理されていてやりやすい印象。
タイ
Non-Bビザ+ワークパーミットの二段階方式。
外国人1人にタイ人4人雇用が必要など、ハードルは高め。
インドネシア
KITAS取得のためにまずRPTKA(人材配置計画)から始まる。
書類が多く、審査も時間がかかる。
ベトナム
労働許可証を取ってから就労ビザ申請へ。
犯罪歴証明や健康診断も必要。書類の整合性が厳しい。
6.制度理解も経営者の仕事
制度や書類に追われる日々の中でも、「これも経営の一部」と捉えて丁寧に積み重ねていく。そんな意識が、海外起業の継続には欠かせないのかもしれません。
実際、こうした行政手続きの多くを任せているのが現地の右腕です。どのように信頼関係を築いたかについてはこちらで紹介しています。
Dexta
▶ よろしければ、こちらもあわせてお読みください:
▶ 海外赴任・駐在が決まった方に役立つ実務書:
『海外駐在員の実務』(楽天ブックス)
コメント