「◯◯日に納品お願いします」——そう伝えても、その日に届くことはほとんどありません。
「大丈夫」と笑顔で返ってくる言葉の裏に、日本とはまったく違う時間感覚が横たわっています。
この記事では、東南アジアで20年経験してきた私が行き着いた、納期遅れを「前提」として組み込む3つの仕組みをお伝えします。
こんにちは、Dextaです。
納期は「理想の希望日」。その前提から始めると楽になる
何度も確認し、発注書にも納期を記載していても、期日に届くことのほうが少ない。
納期=“理想的な希望日”という認識が現地には根強く、「その日を過ぎてから用意を始める」ようなケースも珍しくありません。
当初は「しっかり伝えれば分かってもらえる」と思っていましたが、文化や時間に対する価値観がそもそも違うことに気づき、今では諦めに近い感覚を抱くようになりました。
「大丈夫」を信じてはいけない。進捗確認の技術
インドネシアでよく聞くのが「Tidak apa-apa」。
これは「大丈夫」「気にしないで」という意味で、現地では日常的な言い回しです。
タイなら「Mai pen rai」、フィリピンでは「No problem」といった表現もあります。
でも、こちらとしては全く笑えない。「納期が守られないと困る」と伝えても、深刻さは伝わらない。
結果的に、納期遅れが続くとこちらの信用まで落ちてしまい、実際に日本の取引先から「御社も現地企業になっちゃった?」と嫌味を言われたことすらあります。(笑)
日本式の効率を捨て、バッファを標準装備にする
現地での調達や製造が時間通りに進まないことは、ある意味“当然”として扱わなければなりません。そのため、私は製造計画や販売計画を立てる際、「遅れること前提」で設計するようになりました。
どうしても間に合わせなければいけない案件では、リスク回避のために余剰在庫を先に抱えておくこともあります。効率よりも「確実さ」を優先しないと、現地ではビジネスが回らなくなることすらあるのです。
確かに日本では「効率」が評価されますが、現地ではそれ以上に「確実さ」が重要になる場面があります。
遅延を前提とした計画術については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
現地と取引先の期待値ギャップ。板挟みを防ぐ方法
特に悩ましいのが、調達先が東南アジア、販売先が海外(日本や欧米)の場合。
現地の納期感覚と、輸出先の期待値が完全にズレており、そのギャップに苦しめられます。
書類の準備、品質チェック、出荷準備……日本では「前倒し」が当たり前のように求められますが、現地では「今日言われたことを、明日やる」くらいの感覚が主流です。
現地との交渉や指示を的確に伝えるには、言語の壁を薄くすることが思いのほか効いてきます。私自身、英語での伝え方一つで、納期交渉の結果が変わることを何度も経験してきました。海外経営者として、ビジネス英語を早期に鍛えておくことを強くお勧めします。
感情論をやめて、仕組みで補完する
この問題に対して、「現地が悪い」と責めても何も変わりません。
大切なのは、文化の違いを理解したうえで、それを前提とした仕事の準備と設計を行うこと。
日本式の感覚をそのまま持ち込めば、必ずどこかで無理が生じます。
スピードのギャップを「どう埋めるか」ではなく、「どう織り込むか」。
それが、東南アジアでのビジネスにおいて必要な視点なのだと、私は感じています。
『現地化』という名の丸投げを捨て、不正や停滞を防ぐための管理権限の持ち方についてはこちら。
まとめ:違いを「諦め」ではなく「戦略」として扱う
東南アジアでビジネスをする以上、時間感覚の違いは避けられないものです。
文化の違いを否定せず、「起こる前提」で計画を立てることが、安定した経営への第一歩になります。
私は今も試行錯誤の連続ですが、これが「現実」であり、「前提」であると捉えたとき、経営の視界が少しクリアになったような気がしました。
スピード感の違いを補う右腕人材の育て方については、こちらもあわせてどうぞ。
Dexta
納期、交渉、文化の壁——終わりのない格闘の合間に、少しだけ静かな時間を。 ▶ こころを整える、静寂の鏡
書籍紹介:サクッとわかる ビジネス教養 東南アジア(助川成也 監修)
▶ 納期の「ズレ」は性格ではなく、文化の問題だった
「なぜ約束が守られないのか」「なぜ笑顔で大丈夫と言うのか」——現場で感じる違和感の正体が、本書を読むと腑に落ちます。東南アジア各国の文化・宗教・ビジネス慣習を図解でわかりやすく整理しており、感情論ではなく「仕組み」として違いを理解したい経営者・駐在員にとって、手元に置いておきたい一冊です。


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