こんにちは、Dextaです。
東南アジアで起業してからの最初の数年を振り返ると、悩みの大半は「人」に関することだったように思います。制度や資金、設備といった分かりやすい課題以上に、現地スタッフとの距離感や価値観の違いに戸惑う場面が続きました。
当時は目の前の出来事に対応することで精一杯で、一つひとつを整理して考える余裕はありませんでした。しかし、記事として書き溜めてきたものを読み返してみると、そこには共通したテーマが浮かび上がってきます。
この記事では、主に起業初期を書いた記事5〜10を振り返りながら、東南アジアで事業を続ける中で私が学んだ「人との向き合い方」を整理してみたいと思います。
1. 起業初期に直面した「人の問題」
起業前は、海外で事業を始める上での課題は、制度や資金、設備といった「目に見えるもの」に気を取られていました。しかし実際に現地で事業を始めてみると、想像以上に時間とエネルギーを取られたのは、人に関する問題でした。
働き方の前提、責任感の捉え方、仕事との距離感。それぞれは一つひとつは小さな違和感に見えても、積み重なることで大きなズレになります。当時はそれを問題として言語化する余裕すらなかったのだと思います。
2. 文化や価値観の違いは、正論では埋まらない
言語や制度の違い以上に難しかったのは、生活や価値観の違いでした。こちらが正しいと思って説明しても、なぜか噛み合わない。きちんと伝えれば分かってもらえる、という考え方自体が日本的だったのかもしれません。
正論を積み重ねるほど距離が広がる感覚に、少しずつ気づき始めました。必要だったのは言語レベルの高さや説明の上手さではなく、これまでの自分の常識や物差しを疑う姿勢だったように思います。
3. 信頼関係は、時間と摩擦の中でしか生まれない
当初は、信頼関係というものは何か特別な方法を使って築くものだと思っていました。しかし実際には、誤解や衝突、気まずい時間を何度も経る中で、少しずつ積み重なっていくものだった気がします。
「正しさ」よりも、「相手の立場を理解しようとする姿勢」が求められました。それを自分の中で消化できるようになるまでには、正直かなりのストレスもありましたが……今となっては良い経験です(笑)。
4. 育てた人材ほど辞めていく現実と、どう向き合ったか
時間をかけて育てた人材ほど、ある日あっさりと辞めていく。頭では理解していても、何度経験しても慣れない現実です。
現地では転職が珍しくない文化である一方、こちらの感情は簡単には割り切れません。それでも「去る者は追わず」というスタンスに至るまでには、これもまたストレスといくつもの葛藤がありました。(笑)
5. それでも「任せる」ことから逃げなかった理由
人が辞めるたびに、「結局自分でやった方が早い」と思ったことは一度や二度ではありません。それでも、任せることを避け続けると、事業はいつか必ず行き詰まります。
人を育てるのが得意ではない自分だからこそ、失敗込みで任せるしかありませんでした。今振り返ると、その遠回りこそが、経営者として必要なプロセスだったように思います。
現場を任せる事の難しさーー人を育てるのが苦手な自分が、東南アジアで学んだこと
まとめ
起業初期に直面した人の問題は、一つの正解から全てを解決できるものではありませんでした。人と向き合うことは、経営の一部ではなく、経営の根幹そのものだったのだと、今では感じています。
正解を探すよりも、違和感や認識のズレに気づくこと。その積み重ねが、東南アジアで事業を続ける上での土台になってきました。記事11以降では、こうした経験を踏まえた上での意思決定や、経営者としての孤独についても書いています。
この先も正解を探すより、違和感と向き合い続けることを大切にしていきたいと思います。
▶︎ あの時感じていた違和感に、後から名前をくれる一冊:
『世界は贈与でできている』
▶ 現地スタッフとの関係づくりに悩んだら読みたい1冊:
『任せるコツ』

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